ペットホテル

なんだか嫌な予感がした。だから200メートル手前で立ち止まったんだ。
いっしょうけんめいふんばって、前に進まないようにしたけど、れいこんが「しなもん行こう!ほら歩いて歩いて。そうそうえらーい」なんて僕のこと上手におだてるから、ついつい進んでしまったんだ。
ドアを開けたら、いつもの先生が出てきて「はい、じゃあ明日の4時までに迎えにきてくださいね」って僕の引き綱を受け取ったんだ。
「それではおねがいしまーす。しなもんいい子でねー」って、なんと、ものの10秒もしないうちにれいこんはドアの向こうに去っていった!!
そう、動物病院の2階にあるペットホテルに、僕は一泊預けられた。れいこんはてなの社員旅行に行くから、って。
それからのことは、ここでは書けない。たぶん、翌日元気に家に戻ったから、特に問題なかったんだと思う。迎えにきたれいこんに先生が「とってもおとなしくしてましたよ」って言ってたから、れいこんもほっとしてた。
でも、ドアを出た瞬間、僕はいちもくさんに走り出した!僕は僕のおうちがいいんだ!僕の意志なく、僕を変なとこに連れてかないで!
「じゃあ今度はペットOKの場所を社員旅行の宿にしなきゃねえ」
そんなの当たり前じゃない!マスコット犬なんだからね(いちおう)!